中小企業診断士試験 経済学・経営政策 令和5年 第2問 [経済学・経営政策]

 こんにちは!
 EVE2です。

 前回までは、内閣府などのホームページで公開されているデータから今後出題されると思われる問題を予想し、中小企業診断士経済学・経営政策の第1、2問に備えようとしましたが、データからの考察は非常に難しいということが分かりました。
 そのため、今回は、初心に立ち返り、実際に問題を解くことにより、問題の解き方を考察したいと思います。

[令和5年 第2問 問題]
 第1問は、比較的簡単な問題なので、今回は、令和5年第2問を解きます。以下が、問題です。
問題 2 日本の経常収支 【令和5年 第2問】
 下図は、2010年以降の日本の経常収支について、その内訳の推移を示したものである。図中のa~cに該当する収支項目の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕
ア,a:サービス収支   b:第一次所得収支  c:貿易収支
イ,a:サービス収支   b:貿易収支     c:第一次所得収支
ウ,a:第一次所得収支  b:サービス収支   c:貿易収支
エ,a:第一次所得収支  b:貿易収支     c:サービス収支
オ,a:貿易収支     b:第一次所得収支  c:サービス収支


[用語の整理]
 以上の問題を解く前に用語について整理していきましょう!
■経常収支
 経常収支は、一国の国際収支の中で、財やサービス、所得のやり取りから生じる収支を指します。
 具体的には、以下の3つの項目を合計したものです:

❶貿易収支(財の輸出入による収支)
❷サービス収支(サービスの輸出入による収支)
❸第一次所得収支(投資収益などの所得のやり取りからの収支)

 経常収支は、その国が外国との経済的な取引でどれだけ収入を得ているかを示す指標で、黒字ならば資産を増やしていることを、赤字ならば資産を減らしていることを意味します。

❶貿易収支
 貿易収支は、財(もの)の輸出額から輸入額を差し引いた収支です。

・輸出:自国が他国に売った商品
・輸入:他国から購入した商品

 黒字の場合は輸出が輸入を上回っており、赤字の場合は輸入が輸出を上回っていることを意味します。
 貿易収支は、経常収支において最も重要な構成要素の一つです。

❷サービス収支
 サービス収支は、サービスの輸出と輸入による収支です。
 サービスには、以下が含まれます:

・旅行や観光(訪日観光客の消費など)
・運輸サービス(国際輸送や物流)
・知的財産権使用料(特許料や著作権使用料など)
・その他のサービス(金融、コンサルティングなど)
 サービス収支が黒字であれば、外国からサービス提供の対価を得ていることを示し、赤字ならば外国に支払っていることを意味します。

❸第一次所得収支
 第一次所得収支は、投資収益や労働所得の国際的な取引を表します。
主な内訳:

・投資収益(株式配当や利子、直接投資の利益)
・労働所得(海外で働く労働者が母国に送金する収入)

 日本の場合、海外投資により得られる配当金や利子が大きいため、第一次所得収支は黒字となることが一般的です。

貿易収支以外は、うろ覚えで正確な情報を記憶していませんでした。まずは用語の意味をきちんと押さえて、それから問題に向かうということになりそうです。

[グラフの見方]
 問題を見ていて気づきましたが、グラフの見方が非常に難しいことが分かります。まずこのグラフは、経常収支の棒グラフなのですが、どのように見たらいいのか悩みます。キーワードは、経常収支の内訳という言葉になりそうです。ようは、上記棒グラフは、各年ごとの経常収支全体を表現していて、その中にa、b、c、第二次取得収支を内訳というか割合として表示しているようです。最初2016年を見ていて、aは25兆円もあるのかと思ってしまいましたが、以上の考察から違うことが分かります。

[データの分析]
 まず問題を解くに当たり、データの特徴を分析します。
 aですが。直近一番多く、2010年から推移を見ると、常に一番多いことが分かります。
 bですが、直近2022年では一番マイナス幅が多く、2019年にはグラフ上に表示されていません。そして、2022年と同じ状況が2012~2014年まで続いています。
 cですが常に経常収支のマイナスとして表示されているのですが、2017年は、全く表示されていないことがグラフから読み取ることができます。

[令和5年 第2問 解答]
 以上のグラフの見方と、データの特徴からa、b、cが何なのか考察して見ましょう。
 その前に、日本においてどんなイベントがあったのか見て行きましょう!
2011年03月 東日本大震災
2012年12月 アベノミクス開始
2019年12月 新型コロナ感染症 初回報道
2020年09月 アベノミクス終了
2023年05月 WHO新型コロナ感染症終息宣言

 2019年~2022年までは新型コロナ感染症の影響がありました。その間、貿易が滞った事が想像されます。そう考えると、貿易収支サービス収支がマイナスになった可能性があります。しかも、2011年に東日本大震災があり、すべての原発が停止しました。その状況から、燃料を外国から大量に購入したことが想像されます。その状況を、2012年~2014年までのグラフから見ることができます。
 ということは、残る第1次所得収支は、aと言うことになります。第1次所得収支は、投資などから得る収支になります。投資というキーワードでイベントについて考えるとアベノミクスが思い浮かびます。
 アベノミクスは、2012年12月~2020年9月の約7年9ヶ月間続きました。株は先行指数で、アベノミクスが開始されるという前または直後から動いており、それで利益を得ていた人がいたと思われます。その状況がグラフから読み取れるか見てみると、確かにそうらしいような気がします。
 しかも、アベノミクスの効果により円安になり、東日本大震災の影響でエネルギーを外国から大量に購入した結果が、2012~2014年と考えることができます。
 以上から、aは、第一次所得収支で、b、cが貿易収支とサービス収支になりそうです。
後は、b、cのどちらが貿易収支なのか?サービス収支なのか?考察すると、用語の調査から感覚的に多い方が貿易収支でしょう?ということは、bが貿易収支で、cがサービス収支となりそうです。
 以上の考察から、エが正解だと思われます。そして、解答もエでした。

[あとがき]
 なんとなく、データを調べるよりは、以上のような考察を進めた方が得点ができそうな気がしてきました。
 ちなみに、令和5年の第1問は、世界のGDPの順位の問題ですが、日本は当時、世界第3位でしたが、現在、日本はドイツに抜かれて第4位です。しかも、つい最近のニュースからの情報ですが、1人当たりのGDPは、韓国に抜かれて39位まで転落しています。以下が2024年にIMFから提出されている情報になります。
1 ルクセンブルク 135,321ドル 4.2%
2 スイス 106,098ドル 4.5%
3 アイルランド 103,500ドル 0.0%
4 ノルウェー 90,434ドル 3.1%
5 シンガポール 89,370ドル 5.5%
6 アメリカ 86,601ドル 4.7%
7 アイスランド 85,787ドル 2.8%
8 マカオ 77,186ドル 11.7%
9 カタール 71,568ドル 2.9%
10 デンマーク 69,273ドル 1.0%
11 オランダ 67,984ドル 4.9%
12 オーストラリア 65,966ドル 2.2%
13 サンマリノ 59,841ドル 2.7%
14 オーストリア 58,669ドル 3.2%
15 スウェーデン 57,213ドル 3.2%
16 ベルギー 56,129ドル 4.2%
17 ドイツ 55,521ドル 3.7%
18 フィンランド 54,774ドル 3.1%
19 カナダ 53,834ドル 0.4%
20 香港 53,165ドル 5.1%
21 イスラエル 53,111ドル 0.9%
22 イギリス 52,423ドル 5.6%
23 アラブ首長国連邦 49,550ドル 2.9%
24 フランス 48,012ドル 3.7%
25 ニュージーランド 47,072ドル -0.7%
26 アンドラ 45,279ドル 3.4%
27 マルタ 44,140ドル 7.1%
28 イタリア 40,287ドル 3.3%
29 アルバ 39,697ドル 8.0%
30 プエルトリコ 37,926ドル 3.1%
31 キプロス 37,767ドル 7.9%
32 バハマ 36,322ドル 2.3%
33 韓国 36,132ドル 1.6%
34 スペイン 35,789ドル 5.6%
35 ブルネイ 34,872ドル 3.9%
36 スロベニア 34,544ドル 5.7%
37 台湾 33,234ドル 2.6%
38 サウジアラビア 32,881ドル 1.1%
39 日本 32,859ドル -3.1%

韓国のことをニュース報道に出す前に、上に38カ国もあるじゃん!って思ったのは私だけでしょうか?まっ、そんなことはさておき、以上について、次回の試験の参考としてください。
 以上の情報は、セカイハブというサイトからなのですが、試験に使えそう?

 では、また!

■セカイハブ
【2024年】世界の一人当たり名目GDPランキング (IMF)

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