令和3年 中小企業診断士 2次試験 事例Ⅰ ~採点・総評~ [中小企業診断士2次試験]

 こんにちは!
 EVE2です。

 システム開発ですが、やっと、ユーザー修正画面にめどがつきました。今日というわけにはいけませんが明日ぐらいにはαテストしたレベルのシステムとしては出来上がりそうです。
 それでは、昨日の続きで、令和3年 中小企業診断士試験 二次試験 事例Ⅰの採点、評価をしていきたいと思います。なお、最終的な分析は、お知らせ通り、土曜日に実施します。

[令和3年 事例Ⅰ 第1問]

第1問(配点20 点)
 2代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100 字以内で述べよ。
《私の解答》
1970年代から始まった印刷業界の急速な技術革新により1社で高品質の仕事をすることが費用的にできなくなってきたため、各印刷工程に特出した技術をもつ協力会社に仕事を依頼することにより品質を保とうとした。
《採点》
ChatGPT 15点
Gemini 16点
Copilot 18点
ChatGPTの解答
設備投資負担や在庫リスクを回避し、工程ごとに強みを持つ協力企業を活用することで、コスト競争力と高品質の両立を図るためファブレス化を行ったと考えられる。
Geminiの解答
オフセット印刷普及で分業体制が崩壊し、自社一貫生産の優位性が低下。設備投資負担を避け、高度な技術を持つ外部と連携し、多様な顧客ニーズに低コストかつ柔軟に対応するためファブレス化した。
Copilotの解答
急速な技術革新により自社設備での高品質な印刷が非効率となったため、専門性の高い協力企業と連携することでコストを抑えつつ高い品質を維持するためにファブレス化を選択した。

[令和3年 事例Ⅰ 第2問]

第2問(配点20 点)
 2代目経営者は、なぜA 社での経験のなかった3 代目にデザイン部門の統括を任せたと考えられるか、100 字以内で述べよ。
《私の解答》
円滑に事業承継を進めるために、前職広告に関連したデザインを主業務とするデザイン部門の統括を任せることにより、A社での仕事の経験をさせたうえで、段階的にA社の経営権を引き継ぐために任せたと考えられる。
《採点》
ChatGPT 16点
Gemini 18点
Copilot 19点
ChatGPTの解答
デザイン部門の統括を通じて業務経験を積ませ、経営に必要な判断力と社内外の信頼を獲得させた上で、段階的な事業承継を円滑に進めるためと考えられる。
Geminiの解答
事業承継を見据え、3代目の広告経験を活かせるデザイン部門を新設し統括を任せた。新たな視点の導入と社内適応を促し、既存印刷部門との連携による新規事業創出も期待したと考えられる。
Copilotの解答
前職で築いたクリエイティブ業界の人脈を活かし、デザイン部門を強化して新規事業に対応させるため。また、経験を積ませて経営者としての視野を広げる意図があったと考えられる。

[令和3年 事例Ⅰ 第3問]

第3問(配点20 点)
 A社は、現経営者である3 代目が、印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させていった。これは、同社にどのような利点と欠点をもたらしたと考えられるか、100 字以内で述べよ。
《私の解答》
利点は、経営のリスク分散をすることができるのと同時に、相乗効果、相補効果などによりイノベーションが生まれる可能性がある。リスクは、限られた経営資源を分散することにより仕事の質の低下が考えられる。
《採点》
ChatGPT 17点
Gemini 14点
Copilot 17点
ChatGPTの解答
収益機会の拡大や既存顧客との取引深化といった利点がある一方で、人的資源の分散や専門性の低下により品質や対応力が弱まる懸念という欠点もある。
Geminiの解答
【利点】印刷需要減に対応し新収益源確保。多様な広告ニーズに応え既存顧客との関係深化。【欠点】広告制作の競争激化。部門連携不足や新規顧客開拓遅れで相乗効果を発揮できない可能性。
Copilotの解答
利点として経営の多角化や顧客層拡大の可能性がある。一方、経営資源の分散や広告業界特有の競争激化により、収益確保が困難になるという欠点も考えられる。

[令和3年 事例Ⅰ 第4問]

第4問(配点20 点)
 2代目経営者は、プロジェクトごとに社内と外部の協力企業とが連携する形で事業を展開してきたが、3 代目は、2代目が構築してきた外部企業との関係をいかに発展させていくことが求められるか、中小企業診断士として100 字以内で助言せよ。
《私の解答》
従来通り顧客のきめ細かなニーズに対応出来る体制を維持しつつ、2部署管理しているサプライチェーンを1部署で管理するなど冗長的な部分をなくし、同じ工程を複数の企業に依頼できる体制を構築し不慮な事案に対応。
《採点》
ChatGPT 14点
Gemini 15点
Copilot 15点
ChatGPTの解答
外部企業の技術やノウハウを共有し合えるパートナー関係に昇華させ、相互信頼のもとで新事業や緊急対応も可能な柔軟な連携体制を構築することが求められる。
Geminiの解答
協力企業と密な情報共有で相互理解を深め、デザイン部門との連携で高付加価値を提供。長期視点で戦略的パートナーシップを構築し、サプライチェーン全体を最適化することが求められる。
Copilotの解答
既存の協力企業との信頼関係を維持しつつ、新たな分野の専門企業をネットワークに加えることで、より多様な顧客ニーズに応えられる柔軟な体制を構築することが重要である。

[令和3年 事例Ⅰ 第5問]

第5問(配点20 点)
 新規事業であるデザイン部門を担う3代目が、印刷業を含めた全社の経営を引き継ぎ、これから事業を存続させていく上での長期的な課題とその解決策について100 字以内で述べよ。
《私の解答》
競争が激しい、印刷業界、広告業界にあって、戦略がないような既存の顧客からの紹介や口コミに頼った顧客開拓では、生き残れない可能性がある。経営戦略、競争戦略を明確にした上で、投資、顧客開拓を行う。
《採点》
ChatGPT 13点
Gemini 17点
Copilot 18点
ChatGPTの解答
印刷とデザインの両立による経営資源の分散が課題であり、人材育成と業務効率化により各事業の強みを活かし、統合的な経営戦略を実行することが求められる。
Geminiの解答
【課題】印刷・広告業界の競争激化と既存顧客依存からの脱却。【解決策】両事業の強みを活かした独自サービス開発と新規顧客開拓。デジタル活用で効率的な営業戦略と変化対応できる組織構築が急務。
Copilotの解答
長期的課題は競争激化への対応と新規顧客獲得。解決策として、競争優位を築くための独自の価値提供やデジタル領域での販路拡大、営業体制の強化が挙げられる。

[ChatGPTの総評]

第1問(ファブレス化の理由)
★評価:
・主旨は合っていますが、「費用的にできなくなってきた」など曖昧な表現が減点対象。
・「ファブレス化」に対して、「コスト削減」や「競争力維持」などの経営的視点を入れると加点。

★修正ポイント:
・「コスト削減」「品質の維持」「外部の専門性活用」といった経営判断の根拠を明示。
・時代背景(1970年代)は触れても良いが、文字数が限られるため省略も可。

第2問(3代目にデザイン部門統括を任せた理由)
★評価:
・全体の流れは良いが、やや冗長。
・「事業承継のため」と結論が先にあり、それを支える要素が後に来る構成はやや弱い。

★修正ポイント:
・まず任せた意図(経験・信頼構築)→結果として事業承継が円滑という因果関係を明確に。

「段階的に」というキーワードは良いが、前段の論理が強ければ省略しても構わない。

第3問(事業ドメイン拡大の利点・欠点)
★評価:
・利点・欠点ともに明快でバランスは良い。
・ただし、「イノベーションが生まれる可能性がある」「仕事の質の低下が考えられる」などがやや抽象的。

★修正ポイント:
 「相乗効果により既存顧客との関係深化」「品質低下のリスク」など、より具体的な現象に言い換えると説得力UP。

第4問(協力企業との関係をいかに発展させるか)
★評価:
・問題は「協力企業との関係をどう発展させるか」であり、社内管理体制の効率化は論点から少しずれている。
 また、文が長くなりがちで、要点がぼやけている。

★修正ポイント:
 「外部企業との信頼関係」「パートナーシップ構築」「柔軟な連携体制」など、外部との関係強化にフォーカスする。

第5問(長期的な課題とその解決策)
★評価:
・課題→対策という流れは良い。
・ただし「紹介や口コミでは生き残れない」という部分が感覚的かつやや批判的で、診断士らしい客観性に欠ける。

★修正ポイント:
・「戦略不在の属人的営業体制」が課題、対策として「顧客セグメントに応じた戦略的営業体制の構築」など具体的かつ前向きに。

まとめ(満点に近づけるための全体的なポイント)
改善点 解説
表現を簡潔に・論理的に 冗長な言い回しや抽象表現を避け、因果や目的を明確に
設問の主語に忠実に答える 設問が「なぜ〜か」なら「〜するため」と結論から書く
専門用語や診断士的視点を意識 「リスク分散」「事業承継」「外部連携」「資源集中」など使い分け
感覚的・主観的表現を避ける 「〜では生き残れない」より「〜の限界がある」など客観的に

[Geminiの総評]

各解答が満点を取るための具体的な改善点を、それぞれご説明します。
第1問:ファブレス化の理由(配点20点)
★現状の解答の強み
 技術革新への対応と外部連携の目的が明確に示されています。

★満点への改善点:
・経済合理性の強調
 単に「費用的にできなくなった」だけでなく、自社で設備を持つことの固定費負担や陳腐化リスクを避け、変動費化による経営の柔軟性を高める意図を明確にすると良いでしょう。
・経営戦略との関連付け
 ファブレス化が、高品質・高精度な美術印刷に特化するというA社の経営戦略と合致している点を補足すると、より深みが増します。

第2問:3代目へのデザイン部門統括の理由(配点20点)
★現状の解答の強み
 事業承継と3代目の経験活用という点が示されています。

★満点への改善点:
・組織活性化の視点
 外部からの新しい視点や発想を導入し、組織の活性化を図る狙いを加えると良いでしょう。
・既存部門との連携への期待
 デザイン部門の新設が、既存の印刷部門と連携し、新たなサービスや価値を生み出すことへの期待を具体的に示唆すると、より戦略的な意図が伝わります。

第3問:事業ドメイン拡大の利点と欠点(配点20点)
★現状の解答の強み
 リスク分散とイノベーションの可能性、資源分散による質の低下という点が示されています。

★満点への改善点:
・具体的な利点の深掘り
 既存顧客へのクロスセルやアップセルによる収益機会の拡大、顧客ニーズの多様化への対応力向上などを具体的に挙げると良いでしょう。
・具体的な欠点の深掘り
 異なるノウハウや人材育成の必要性、組織文化の衝突、経営資源の分散による両事業への注力不足などを具体的に挙げると、より説得力が増します。

第4問:外部企業との関係発展(配点20点)
★現状の解答の強み
 連携維持、冗長性の排除、不測の事態への対応という点が示されています。

★満点への改善点:
・戦略的な視点の強化
 単なる効率化だけでなく、外部企業の専門性をより深く活用し、自社の競争力強化に繋げる視点を加えるべきです。
・長期的な関係構築
 短期的な協力関係だけでなく、長期的な視点での信頼関係構築や、共同での技術開発、人材育成などの可能性を示唆すると、より発展的な方向性が示されます。

第5問:長期的な課題と解決策(配点20点)
★現状の解答の強み
 競争激化と既存顧客依存、戦略の必要性が指摘されています。

★満点への改善点
・課題の具体化
 印刷と広告制作それぞれの市場動向を踏まえ、より具体的な課題(例:デジタル化への対応の遅れ、差別化の困難さ)を挙げると良いでしょう。
・解決策の具体化と実現可能性
 戦略策定だけでなく、具体的な施策(例:ニッチ市場への特化、独自の強みを活かした高付加価値サービスの開発、デジタルマーケティングの強化)と、その実現に向けた組織変革の必要性を示すと、より実践的な解決策となります。

[Copilotの総評]

第1問
★現状の改善案:
・「費用的にできなくなった」の具体例を追加し、協力企業に依頼する利点を明確に説明する。
・技術革新による業界全体の変化を簡潔に触れる。

第2問
★現状の改善案:
・3代目の前職での具体的なスキルや成果を織り込む。
・「経営者としての視野を広げる意図」をさらに深堀りする。

第3問
★現状の改善案:
・利点と欠点をより具体的に示し、バランスを取る。
・経営資源の限界や競争の詳細なリスクを補足する。

第4問
★現状の改善案:
・具体的な発展策や新たな関係構築方法に言及。
・外部企業との連携強化がもたらす利点を示す。

第5問
★現状の改善案:
・解決策を具体的な行動レベルで提示。
・戦略実行の優先順位や必要な資源配分を明確化。

■総合アドバイス
・論点をさらに深掘りし、解答に説得力を持たせるために背景情報を整理する。
・具体例を含むことで、評価者に伝わりやすい表現に仕上げる。
・簡潔さを保ちながらも、主張と根拠を明確にリンクさせる。

[あとがき]

 ちょっと、与件文の分解に手間取った問題でしたが、AIからの採点は、思ったよりはいい点をいただきました。ただ、ChatGPTが辛口の採点をしている部分があるので、その点と各AIの解答及び指摘事項を読み、土曜日までに分析したいと思います。

 では、また!

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